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Shinichi Takeda
第008話
木村 欣三郎 物語
『納豆』
材料
大豆 1キロ
市販の納豆 1個
ただ、これは現在の材料である。では、木村欣三郎の材料はというと…
材料
大豆 1キロ
トウモロコシの皮 わら
大豆を良く洗い、一晩つける。ここまで、味噌づくりと同じである。そして、大豆を柔らかくなるまで炊く。ここも味噌づくりと同じである。注意も味噌づくりと同じである。大豆が柔らかくなったら、熱いうちに市販の納豆をまぜる。ここがミソである。そして、摂氏40度で丸一日保温しておけば、出来上がり。でも、保温するときは、ふたはしない。蒸れると味が落ちてしまうからだ。味噌も納豆も実は、ほとんど同じ工程である。では、何が違うのだろうか。実は、発酵温度である。味噌はみそ麹をつくるとき、低温でひと肌程度の温度を維持しなければならないのに比べ、納豆は、ちょっと熱めの温度で保温しなければならいないのである。その違いができたときの味を変えてしまうのである。木村欣三郎のひ孫の筆者の妻は、いまでも納豆をつくり、家族で食べ、近くの日本食屋にも卸している。結構、人気の商品である。ただ、木村欣三郎は、わらやトウモロコシの皮に天然についてる納豆菌を頼りにしていたため、できたりできなかったりと不作のときのほうが多かった。ただ、納豆菌は繁殖力がつよく、納豆をつくるところでは、味噌はできないとも言われている。納豆の嗜好性は低いため、好き嫌いが激しいが、私は、大すきである。
(つづく)
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